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調査データ

内定までのリードタイムが原因で、応募者に辞退された割合は8割超 人事担当者に聞いた「選考が長引く理由」とは?

2024年9月11日

昨今の採用活動においては、「売り手市場」の傾向が強くなっています。文部科学省と厚生労働省の発表によれば、「2024年春に卒業した大学生の41日時点の就職率」は98.1%で、1997年の調査開始以来、過去最高の数値となりました。

2024年6月の有効求人倍率は1.23倍で、前年と比較して横ばいの状況ではあるものの、今後、少子高齢化が進むことで、新卒・中途採用のどちらにおいても人材獲得の競争が激しくなることが予想されます。

そこで、マンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、応募から内定までのリードタイムや、応募者から辞退された経験について調査しました。

参考:

一般職業紹介状況(令和6年6月分)について |厚生労働省 外部リンク

調査時期
2024年2月
有効回答
企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名

目次

採用面接を行う回数は「2回」が半数超

あなたの会社の採用では、何回くらい面接を行いますか?

企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、勤務先の会社の採用で何回くらい面接を行うか聞いたところ、「2回」(47.3%)が最も多く、全体の半数近くを占めました。次いで「1回」(26.0%)、「3回」(21.0%)の順で、どちらも2割超となっています。また、従業員規模が大きいほど、面接回数が多くなる傾向も見られました。

応募から内定までのリードタイムは、4割近くが「1カ月以内」と回答

あなたの会社の採用で、応募から面接までの期間はおおよそどのくらいですか?

応募から内定までの期間については、「1カ月以内」(37.8%)が最も多く、全体の4割近くとなりました。次いで「2週間以内」(26.0%)、「1週間以内」(15.5%)の順となっています。応募から内定までのリードタイムは、約8割が長くても1カ月以内となっています。また、従業員規模が大きいほど、リードタイムが長くなる傾向も見られました。

全体の8割弱は、リードタイムが原因で応募者から辞退されたことがある

あなたの会社の採用で、リードタイムが原因で応募者から辞退されたことはありますか?

さらに、「リードタイムが原因で応募者から辞退されることはあるか?」についても聞きました。全体で見ると、「ある」(32.5%)、「まれにある」(36.5%)と回答した人の割合が高く、それぞれ3割超となっています。

「かなりある」「ある」「まれにある」の回答を合計すると、企業の8割弱がリードタイム起因の応募者辞退を経験している状況が浮き彫りになりました。リードタイムの短縮は人材確保の効率を上げるための重要なポイントだといえそうです。

また、従業員規模が100人以上の大規模企業では、リードタイム起因の辞退が多くなる傾向もありました。

人事担当者に聞いた「採用が決まるまでに時間がかかる理由」

採用が決まるまでに時間がかかる理由については、「面接日程の調整の難しさ」「見極め」「採用プロセス」「社内の体制」「人手不足」を挙げる声が多くありました。

面接日程の調整が難しい

  • 応募者と面接担当者のスケジュールが合わない(女性・50代)
  • エージェントや候補者からのレスポンスが遅い(女性・30代)
  • 現場との調整に時間がかかる(男性・40代)
  • 面接担当者の外出が多いため、面接できる時間が限られてしまう(女性・30代)
  • 面接を上位役職者が担当しており、全員のスケジュールが一致する日を早期に組めない(男性・40代)
  • 事業部とは別に、本社での面接が必要だから(女性・20代)
  • 組織が大きく、本社と支社のやりとりで時間を要していると思う(男性・50代)

見極めに時間がかかる

  • とにかく早期離職につながらないよう努めている(男性・30代)
  • ミスマッチを減らすために、複数の階層で会うことが得策と考えている(男性・50代)
  • 適材適所に人材を配置しようとするため、関係部署が多くなってしまう(女性・20代)
  • 本人との相性のすり合わせに時間がかかる(男性・50代)
  • 面接担当者の意見集約と決済に時間がかかる(男性・40代)

採用プロセスに課題がある

  • 選考回数が多い(男性・40代)
  • 選考基準が細かい(女性・40代)
  • 採用システムが複雑(男性・40代)
  • 選考のフローができていない(男性・30代)
  • 長い期間、募集をかけてしまったので時間がかかってしまった (男性・40代)
  • 複数の選考を同時に進めるため(男性・40代)
  • 他の選考者がいる場合に各人の面接が終わってから比較検討するため(女性・30代)

社内の体制に課題がある

  • 会社の決裁稟議の承認に時間がかかる(男性・50代)
  • 社内の手続きに時間がかかる(男性・30代)
  • 決裁権の委譲ができてない(男性・40代)
  • 社内の受け入れ態勢も関わるから(男性・20代)
  • 上層部内で意見の相違が生じ、こちらから適切なアクションが取れない(男性・30代)
  • 社長の不在が多く、許可を得られない(女性・50代)

人手不足

  • 採用担当が少ない(男性・50代)
  • 他の業務が忙しい(男性・50代)
  • 募集人数に対して、応募人数が多くなってしまったから(男性・40代)
  • 新卒採用を行う時期と前年に採用活動した方たちの新卒入社時期が重なるため(男性・40代)

優秀な人材の獲得には、応募から内定までの効率化を図ることが重要

多くの応募者は複数企業の選考を並行しているため、「採用選考から内定出しまでの時間」が内定承諾率に少なからぬ影響を与えてしまうでしょう。昨今は、面接のスケジュール調整や面接官を外部に委託して、人員不足をカバーし、リードタイム短縮に努めている企業や、採用選考を1日で終える「1day選考会」を行う企業などもあります。

現在、すでに売り手市場の傾向が強くなっていますが、今後、少子高齢化が進行すれば、求める人材や優秀な人材を獲得することがさらに難しくなるといえます。自社の採用プロセスを見直し、ミスマッチ防止に加え、効率化も図れるようにすることが必要になるでしょう。

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また、アンケートの結果は調査時点に基づいたものであることにご留意ください。

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