調査データ
2023年4月 3日
昨今、従業員教育などをはじめとする人材育成において、オンライン研修の導入・検討を行う企業が多いのではないでしょうか。
どのような研修を導入し、どういった内容に効果を感じているのか、マンパワーグループでは、企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に、「オンライン研修の導入状況と効果」について調査しました。
企業で人事担当者を務める20代~50代の男女400名に、勤務先の企業でどのようなオンライン研修を行っているか聞いたところ、「直接業務に関わる教育・研修は特に行っていない」(59.5%)との回答が全体の約6割を占めました。
また、「オフラインのみで行っている」との回答はわずか5.5%にとどまり、全体の35.0%は、何らかの業務に関わる教育・研修をオンラインで実施していることがわかりました。
実施している教育・研修の内容については、マネジメント能力・コミュニケーション能力など「ヒューマンスキル向上に関する研修」(19.8%)、「キャリア教育・研修」(19.3%)、「リスク管理に関する研修」(19.0%)が僅差でいずれも2割弱でした。一方、「資格・技能などに関連する研修」は、IT・OA関連においても、そのほか簿記・語学などの領域においても、実施している企業は1割弱という結果になりました。
直接業務に関わるオンライン教育・研修を導入している人事担当者を対象に、導入の理由について聞いたところ、「コロナ禍の影響を受けたから」(36.4%)が最も多い結果となりました。
以降は、「リアルタイムでなくても参加できるから」(33.6%)、「時間を有効活用できるから」(32.9%)、「さまざまな場所から参加できるから」(30.0%)が3割超で続きます。
研修参加における従業員の負荷や抵抗感を低減できると考え、オンライン研修を導入している企業が多いようです。
また、「全社員に参加機会を与えたかったから」(25.7%)、「社内のIT環境が整ったから」(22.1%)も2割を超え、社内における教育の機会均等を目指してオンラインを活用するケースや、社内IT環境の充実によって実施しやすくなったケースなどもあるようです。
実施した結果、効果がないと思ったオンライン教育・研修について聞いたところ、「特にない」(49.3%)が約5割を占めたことから、約半数の企業は、オンラインによる教育・研修の効果を感じていることがうかがえます。
一方、効果がないと思った教育・研修については、「ヒューマンスキル向上に関する研修」(21.4%)、「キャリア教育・研修」(21.4%)、「リスク管理」(16.4%)、「IT・OA系の資格・技能などに関する研修」(15.7%)、「IT・OA系以外の資格・技能などに関する研修」(14.3%)と、それぞれ1割~2割程度にとどまっています。
オンライン教育・研修をすでに行った企業の人事担当者に、効果がないと思った理由について聞いたところ、従業員のモチベーションを高めることが難しい点に課題を感じている声が多くありました。
オンライン教育・研修は、各自が個別に研修を受けるため、対面と比較して研修を受けるリアリティが薄い点や、ほかの従業員と団結感を高める機会になりにくい点なども、従業員のモチベーションに影響しているといえそうです。
さらに、研修を受ける側の従業員次第で効果も変わってくるとする声も多くありました。
そもそも、効率的に実施できるオンライン研修であっても、現場の人員が足りていない場合は、逆に業務を逼迫することになるという現実もあるようです。
今回の調査では、直接業務に関わるオンライン教育・研修をすでに実施している企業は、「ヒューマンスキル向上に関する研修」「キャリア教育・研修」「リスク管理に関する研修」といった教育・研修をオンラインで行う傾向があるようです。
オンライン教育・研修を導入した理由については、「コロナ禍の影響を受けたから」「リアルタイムでなくても参加できるから」「時間を有効活用できるから」「さまざまな場所から参加できるから」が3割台で上位を占めました。オンラインによる実施で、研修参加における従業員の負荷や抵抗感を低減できると考えたことも大きな理由のようです。
一方で、オンライン教育・研修の効果については、「対面とはまた違うマイナス面がある」という声もありました。
オンラインの場合は、場所や時間を選ばず効率的に研修を受けられますが、互いの顔が見えないためにモチベーションが上がりにくく、従業員同士の団結感を高めることも難しいという一面もあります。
効果が出るかどうかは研修を受ける従業員次第となってしまう様子が浮き彫りとなりました。
対面の研修以上に、しっかりとしたカリキュラムを作ることが重要です。
厚生労働省による「人材開発支援助成金」では、サブスクリプション型のオンライン研修の実施に加え、従業員が自発的にe-ラーニングなどの研修を受講した場合などについても、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成しています。
オンライン教育・研修を導入する際には、こうした制度を利用して専門機関のカリキュラムを導入してみるのも一つの方法といえるかもしれません。