調査データ
2021年12月 1日
昨今、ビジネスシーンにおいても、「アンガーマネジメント(怒りを上手にコントロールするトレーニング)」が注目されています。社会全体がパワハラやセクハラの防止に力を入れる傾向となり、部下を持つ管理職などに向けてアンガーマネジメント研修を行う企業もあるようです。そこで、マンパワーグループでは、20代~50代の部下を持つ男女400名を対象に、「部下に対する"怒り"とアンガーマネジメント」について調査を実施しました。管理職の教育・研修に役立ててみませんか?
20代~50代の部下を持つ男女400名に、部下に対して感情的に怒ったことがあるか聞いたところ、「よくある」(4.5%)、「たまにある」(27.3%)と回答した人が、全体の3割以上を占めていました。一方、「まったくない」(28.3%)との回答は3割弱にとどまっており、「部下に対して感情的に怒った経験がある人」は、全体の7割超という結果になりました。
部下に対して感情的に怒った経験がある人に、どのようなシチュエーションで感情的に怒ったか聞いたところ、最も多かった回答は「業務への取り組みや姿勢に問題があると感じた時」(45.6%)でした。全体の半数近くの回答となっています。また、「話し方や態度そのものに対して」(28.2%)と回答した人も3割近くを占めています。
3位以降、「業務がとにかく忙しい時」(15.7%)、「ミスや失敗をした時」(15.3%)、「自分の意見や指示に反論してきた時」(13.2%)が続きます。業務が円滑に進んでいない、または円滑に進められない状況に対し、焦りやいら立ちを感じ、怒りにつながる傾向があると言えそうです。
一方、「プライベートなことでイライラしていた日」(5.6%)、「自分の上司からの叱責があった日」(4.2%)は、どちらも5%前後という低い回答率となっています。自分自身に問題が起きたことから部下に怒りをぶつける人は少ないようです。
アンガーマネジメントを知っているか、また、意識しているかを聞いたところ、「知っていて、意識している」(31.0%)、「知っているが、意識していない」(26.8%)、「言葉は知っているが、内容は知らない」(15.8%)と回答した人を含めると、アンガーマネジメントの認知度は全体の7割超という結果になりました。しかし、実際に意識しているのは全体の3割程度と、アンガーマネジメントの手法を部下の指導で実践している人はあまり多くはないようです。
アンガーマネジメントを意識している人に、今後、部下の指導時に取り組みたいことについて聞いたところ、「席を立つ/少し時間をおく」(42.7%)、「深呼吸をする」(39.5%)、「相手の言い分を尊重し、適切な表現で伝える」(38.7%)が上位を占めました。
また、「相手と話す距離や位置関係を変える」(28.2%)との回答も3割近くを占めています。物理的な距離や時間を取ることで相手との距離をおく、深呼吸で心を落ち着かせるなど、"思考"ではなく、"行動"によって自分の気持ちを切り替えようとする傾向がやや高いようです。
また、アンガーマネジメントを「意識している」と回答し、かつ、部下に対して「感情的に怒ったことがまったくない」と回答している人については、「第三者の視点で自分の状態を考える」が最も多い結果となりました。自分自身を客観的に見つめることで、感情的な怒りをコントロールしている様子がうかがえます。
今回の調査では、部下に対して感情的に怒った経験がある人が、全体の7割超を占め、感情的に怒ったシチュエーションについては、「業務への取り組みや姿勢に問題があると感じた時」(45.6%)が最も高い結果となりました。
一方、アンガーマネジメントの認知度は全体の7割超でしたが、実際に意識しているのは全体の3割程度にとどまっています。さらに、アンガーマネジメントを知っている上で意識している人が今後、部下の指導に取り入れたいこととしては、「席を立つ/少し時間をおく」、「深呼吸をする」という"行動"による手法が上位となりました。部下に対して感情的に怒ったことがまったくないという人は、「第三者の視点で自分の状態を考える」、「相手の言い分を尊重し、適切な表現で伝える」が上位となり、"思考"や"理論"によるアンガーマネジメント手法を取り入れようと考えているようです。
企業としては、方針や問題となる事例を共有するだけでなく、アンガーマネジメントなどの実践的な手法や役立つ考え方まで教育することがポイントになりそうです。職場におけるトラブルを未然に防ぐことはもちろん、上司も部下もスムーズに働ける環境を整備することは、人材の流出防止や採用活動においても役立ってくれるはずです。