調査データ
2021年9月27日
企業において、「いかに人材を育成していくか」は、今後の経営を左右する大きな課題といえるでしょう。ただ制度を導入するのではなく、より効果的な人材育成を行う仕組みを構築することが重要です。
そこでマンパワーグループでは、管理職やリーダーポジションを務めている20代~50代の男女400名を対象に、「勤務先の人材育成制度」について調査を実施しました。実際に効果を感じた制度についてのリアルな声もご紹介します。
20代~50代の会社員の男女400名に、勤務先の人材育成制度について聞いたところ、全体の7割超が「ある」(73%)と回答しました。具体的な人材育成制度としては、「OJT (現場教育)をしている」(37.5%)、「職位に応じた研修がある」(33.5%)、「入社年数に応じた研修がある」(31.5%)が上位を占めていました。
勤務先の「企業としての人材育成制度」で最も効果を感じているものは、「OJT (現場教育)」(58.0%)で、6割近くを占めていました。また、「職位に応じた研修」(50.7%)、「入社年数に応じた研修」(46.0%)についても、5割前後は効果を感じていることがわかりました。
企業としての人材育成制度が「ある」と回答した人に、効果を感じている点を聞いてみたところ、「OJT」については、実業務に即した仕事を身につけることができて、成長スピードが速まることに効果を感じているようです。
一方、「入社年数に応じた研修」「職位に応じた研修」では、若手層は、業務理解の促進、新たな付加価値、対処法のパターンなど、幅広い業務習得につながることや、研修時には同期や同業務担当、同役職など、共通認識でつながれる者たちとのコミュニケーションに対して効果を感じているようです。また、中堅層以上の場合は、年次が上がれば上がるほど周囲に聞けなくなってくるため、参考になるケースが多いようです。
「e-ラーニング」については、自分の目的に合った教育を、各自の都合に合わせて学べる点にメリットを感じている人が多くいました。「資格取得制度」「社外研修」については、知らないことを吸収、再認識できる点、また、外部の意見には耳を傾けてくれやすい点がメリットのようです。
逆に、効果を感じなかったケースには、研修の内容そのものが実務とマッチしていないケースや、研修後のフィードバック体制などに課題を感じているケースがありました。
また、そもそもの「教育を受ける側」の意識や姿勢が、効果に大きく影響していることが見えてきました。
今回の調査では、全体の7割超が企業としての人材育成制度があり、導入している制度としては「OJT」、「職位に応じた研修」、「入社年数に応じた研修」が上位を占めました。人材育成制度で効果を出すためには、個々の成長や職位に合わせて体系立てた研修を提供していくことや、現場に戻ってからどのように業務に活かすのかを指導することも重要といえるでしょう。
人事・管理の立場や、企業としての観点でメリット感じているケースとしては、「職位に応じた研修を定期的に実施することで、本人のキャリア志向や意欲を知ることもできる」(女性・34歳/宮城県)、「研修を受けることで、帰属意識が高くなる傾向が見られる」(男性・48歳/滋賀県)、「会社の評価におけるクチコミの内容が良くなった」(女性・34歳/兵庫県)などの声がありました。
人材育成制度を充実させることは、個々のキャリア形成や帰属意識の向上にも役立てることができます。求めている人材を採用するためにも、長く企業を支えてくれる人材を育てていくためにも、しっかりとした人材育成制度を構築していくことがポイントとなるでしょう。